先日、鍼灸の業界誌に記事を投稿しました。ツボの企画でした。内容、掲載の有無はさておきまして今回、養生(ようじょう)、健康維持という視点から毎日お灸を続けたいツボを選んでみました。

鍼やお灸には痛み、痺れ、動きなどの症状や病を治す力があります。一方で、病に罹りにくい身体をつくる力、いわば「養生」という健康を維持していく力も備えます。例えるならば、壊れたものを治す力だけでなく、壊れにくくする力と言えるかもしれません。

さて、養生を考えた時に私が推奨するツボを挙げます。ありふれたお決まりなお灸のツボとなりますが、「足三里(あしさんり)」か「三陰交(さんいんこう)」を選びたいと思います。男性と女性で使い方が若干異なります。なお、何らかの症状が出ている時は、症状に合わせて他のツボを使い分けます。

足三里:男性

三陰交:女性(閉経までは三陰交。閉経後は足三里)

弟子入りした師匠達のツボの使い方をみていると三陰交については、月経や子宮と大きく関係していると思われますので、閉経後は足三里が良いかと思います。師匠の村田渓子先生は、三陰交を婦人科疾患の常用穴として使いお灸をしていましたまた不妊症の患者さんへは、自宅でのお灸を勧めていました

1940年に医道の日本社から刊行された代田文誌先生の『鍼灸治療基礎学』に足三里と三陰交の主治症が記載してありますので一部紹介します。

足三里:諸種の慢性病及び消化器疾患を主る。胃疾患、神経衰弱、ヒステリー、神経症、坐骨神経痛、鼻疾患、慢性病の一切に効く。実に大切な穴である。

三陰交:月経不順、不妊症、子宮内膜炎、胎児の位置不正等の婦人科疾患を主る。下腹膨張感、腎炎、膀胱炎等に効く。常用の大切な穴である。

さて、お灸には痛みを抑える。自律神経を整える。ホルモンを調整する。炎症を抑えるなど多くの効果があります。そのなかでも免疫力を高めるという効果についてふれたいと思います。

免疫力を高めておくと体内に細菌やウイルスが侵入した際に、免疫細胞が敵の細菌やウイルスを攻撃してくれる状態となります。一般的に風邪やインフルエンザに罹りにくくなったり、悪化させない状態になります。

また、免疫細胞は体温が上昇すると活動が活発になることが分かっています。お風呂に入ったり、運動をしたりすると身体が温まります。古来より、東洋医学は身体を温める大切さについて伝えてきていることから、さらにお灸を勧めたいと思います。お灸を続けると身体が温まります。私は幼少期から体温が常に35度台と低めだったのですが、お灸を続け体温が少し上がりました。現在は36.5~36.8度位の状態が続いています。今朝、検温すると36.5度でした。

最後に、なぜ鍼とお灸を使う鍼灸師である私が、鍼ではなくてお灸を使い養生なのかというと、それは手軽で簡単にできるからです。毎日続けていくためには手軽さの要素も必要だと思っています。私はめんどくさがり屋で、怠けものの部類に入りますが、1日一ツボであれば何とかお灸を続けることができています。