前回『広辞苑』では、「幼い時の性格は老年まで変わらない」とありました。

 

これは脳の発達が影響しています。

我々の脳はまず、原始的な部分である大脳辺縁系から形成されます。

大脳辺縁系は情動の表出、意欲、そして記憶や自律神経活動に関与する部分です。

生命維持や本能行動、情動行動に関与しています。

例えば、赤ちゃんは体温調節が上手くできないため、大人は部屋の温度に気をつけなくてはなりませんが、これは自律神経が発達段階にあるからです。

 

さて、3歳頃までは、脳は未成長で意識による批判はほとんどなないに等しいといわれています。

具体的に1例あげますと、幼児が高価な花瓶を壊してしまったとします。

思い出のある花瓶だったため、つい怒ってしまうかもしれません。

しかし、怒らないでください。

怒られても理解できないのです。

脳の構造上、言葉を意識することは、まだできないのです。

怒られたという負の感情だけが残ってしまうのです。

3歳頃までは、身近な人や環境から受ける情報はスポンジが水を吸うように潜在意識(感情や自律神経など)に入ります。

特にお母さんからの影響は強く、その子の一生を支配する土台となります。

お母さんの愛情がとても大切な時期です。

 

ところで、鍼灸治療をしていると魂は生まれてきてから宿すのではなく、その子がお腹にいるときからではないかと感じます。

また、妊娠している女性の治療をしていると、お母さんとお腹の子のつながりを強く感じます。

 

お母さんへ鍼やお灸をすると動かなかったお腹の子が、足を蹴り反応を示します。

逆子の胎児は、お母さんの足へお灸をすると、くるっとかえります。

お世話になっている先生方は、妊娠中にお灸や鍼灸治療を続けると「固太りした子」「胃腸の強い子」が生まれてくると言います。

 

魂という例えを上手く使い、三つ児の魂百までを「幼い時の性格は老年まで変わらない」と言いました。その背景には、3歳頃までは性格や感情に関与する大脳辺縁系における形成の影響があります。

そして、その形成はお母さんのお腹の中にいるときに始まっています。

ご出産を控えているお母さんはストレスをため込むことなく、まずお腹の子に優しく語りかけてあげてください。

魂はお腹の中にいるときに宿していますので。