私は現在、ベテランの鍼灸師と1対1で交換治療をしています。定期的にお互い治療をし合い身体のメンテナンスをしつつ、勉強をしています。

先日、私が先生へ鍼灸治療をしていた時の一コマです。

先生の右腰が少し冷えていました。冷えているというよりは左腰が温かいのに比べて右腰が少し温かくないという状態でした。手を動かしながら原因や理由を考え、質問をしてみました。

「今日は、右腰が少し冷えているようです。腰痛のようでもありませんし、お腹でもこわしていますか?」

先生は「お腹はこわしていないよ。便通も正常だよ。ただ昔、腎臓がんになり右の腎臓を摘出した。それ以後、日によって右腰や右脚が冷えることがある」と言いました。

なお、東洋医学では右腰と右脚はつながっていると解釈しています。腰が冷えれば脚も冷えることがあります。また、脚が冷えれば腰も冷えることがあります。この手術では腹部から腎臓をとったので背中側には手術の痕は見られませんでした。

右の腎臓が無いことから右背中側の血流が少し落ち、冷えていると考えることができます。ただ一歩進めて鍼灸師的な見解で考察してみると、東洋医学では身体の内側の状態が体表、皮膚にあらわれると解釈します。私がお腹をこわしているのかと問診したのもこれに基づきます。下痢でお腹をこわしている時は、腰痛になることがあります。

先生も身体の中の状態は「皮膚の寒熱や艶としてよくでるよね」と言われました。鍼灸師(私)はこの体表の状態に応じて鍼や灸をして治療をしていきます。なお、精神的なストレスから体調をくずしてしまい身体に何らかの症状が出ている時さえも体表に反応が出てきます。この反応は鍼や灸の治療箇所と成り得ます。

今回、右腰が少し冷たいという状態でしたが、ほっておくと腰痛をはじめ何らかの症状につながることがありますので、身体からのシグナルと受けとめ予防も考えて治療をしました。右と左の腰のバランスを鍼とお灸で整えました。全身治療をしましたが腰の治療の後、先生は気持ちよさそうにうとうととされました。

私は、先生との治療から普段の治療を確認できましたし、ベテラン鍼灸師からの視点で解説もいただけました。ちなみに、いつも真面目な話ばかりしているわけではありません。紹介した場面はほんの一瞬でした。約4時間ほぼ雑談をしていました。

次回、先生の治療の一コマについて考えてみたいと思います。