唐突ですが、若い鍼灸師は頭を下げてでもベテラン鍼灸師から学びを得るべきだと思います。勉強会などでお金を払って学びの機会を得ることもいいのですが、師弟関係を築き鍼灸師としての理論、技術、考え方を学べると更に成長できると思います。私は、会社務めから鍼灸師を目指したので比較的時間がありませんでした。30歳を超えていたこともあり泥臭く学びに行きましたが、温かく迎え入れてくれる先生が多かったように思います。実は近年、ベテラン鍼灸師も職業人としての時間が限られてきているので、門戸を解放してくれている先生方は多いような印象を受けます。

さて以前、鍼灸師の先生と交換治療をしていた時のことです。私が治療を受けていました。ちなみに、交換治療なので費用は発生しません。

私は気管支があまり強くありません。また、鼻が詰まったりするなど鼻の症状がでやすく、花粉症や埃などにも悩まされています。

先生の治療を受けていると、中府という鎖骨の下辺りのツボ使っていました。肺に関係するツボで普段、私はあまり使わないツボでした。

何故、中府を使ったかを尋ねると「鼻をすすっていた」からとのことでした。

それから、約2週間後に師匠である武藤先生の奥さんの治療を受ける機会がありました。あん摩・指圧の治療です。武藤先生の奥さんは、経絡指圧の治療をしている医王会という会の創始者である増永静人先生から直接、学んだ先生です。武藤先生の奥さんも中府というツボに手を当てていました。

背中の右側にある肺兪というツボも使っていましたが、2週間前に先生から治療を受けた時も右肺兪に鍼を受けました。

ちなみに、医王会の経絡指圧は何度か受けたことがあるのですが効果も高く、気持ちがいい治療です。

二人の先生方は、私の症状に中府や肺兪など共通のツボを見て取ることができたようです。取るツボが本当に一致することが多かったので当時、驚いたものです。

以前、師匠の村田先生から言われた言葉を思い出しました。

「鍼を刺す場所は、鍼灸師がどういう勉強をしてきたかで異なる」

この言葉を解釈すると、二人の先生は同じような勉強をしてきたのかなと思いました。同時に治療を受けた私も結果的に同じ勉強をしているのかもしれないと考えさせられました。

団塊の世代の鍼灸師の方々が現役を引退しはじめています。が、私はベテランの先生方から泥臭く学ぶことがまだまだありそうです。