先日、家内が喉の痛みを訴え、熱を出しました。本人は「天宗と後渓が痛い。冷えている」と言い、張る鍼(パイオネックス)を使い自身で治療していました。天宗と後渓とはツボのことで、手太陽小腸経という経脈に属する肩や手にあるツボです。ちなみに、家内は鍼灸師です。

一晩で熱が下がり、次第に喉の症状も治った様子でした。見事だなと思いつつ、この光景を目の当たりにした私は、これまでお世話になってきたベテランの鍼灸師に共通しているあることを思い出しました。先生方は、日常や生活の中にツボを取り入れているのです。

治療院の外でも身体に悪いところがあれば、どこのツボに反応がでているのかを確認しています。また時には書籍等から効果のあるツボを確認しています。生活しながらツボを意識しています。

臨床歴50年以上の先生方を含め何人もの先生方を見てきましたが、例外なく日常にツボを取り入れています。言わば、ツボと共に生きているのです。

ツボという概念や反応を意識していくことは、一般的には理解し難い不思議な行動かもしれません。しかし、「ツボと生きる」というスタイルは、鍼灸師の習慣や特性だと改めて考えさせられました。

なお、題名の「ツボと生きる」は、某飲料メーカーのグループ企業理念「水と生きる」を参考にしました。