そろそろ6月も終わり、今年も早いもので半分が過ぎてしまいます。歳をとったせいか時間が過ぎるのを早く感じるようになってきました。

若い頃はあまり小説を読まなかったのですが、最近は隙間時間に小説を読むようにしています。今年6月までで読んだ小説のなかから良かったものを思い返してみました。

遠藤周作の『沈黙』と『侍』が面白かったです。遠藤周作はクリスチャンで、作品にはキリスト教系のものも多い小説家です。以前から面白いからと家内に勧められていたのですが、なかなか手に取ることがありませんでした。

文庫本2作品で700ページ位ですが、セットで読むことをお勧めします。難しくないので時間を要しません。私は『沈黙』から読み、数か月後に『侍』を読みましたがどちらから読んでも、あるいは時間をあけず一気に読んでも楽しめるのではないかと思います。

両作品は江戸時代の話です。鎖国下でのキリシタン禁制というものが舞台となっていて、各々の視点の置き方が面白いです。というか視点が凄いです。遠藤周作は芝居を書いていたので場面の作り方や構成が素晴らしいと思います。言葉の使い方も上手く、しばらく私の頭の中に司祭をさす「パードレ」というポルトガル語が残ってしまいました。

日本人としてのキリスト教はどういうものかと遠藤周作なりに説明していて、読み終えると日本人として腑に落ちる、納得できるというような作品でした。『塩狩峠』や『氷点』などキリスト教系の作品で有名な三浦綾子とは捉え方が異なるような印象もありました。ちなみに、私は無神論者、無宗教者です。なんとなく神棚はおいていますが。

若い世代にも読める作品です。日本史や世界史で学んだことが出てきてそのまま背景の基礎、土台となっていきます。理想としては自ら手に取り感受性豊かな10代後半から20代前半に読んでいるとその後の世界観に素晴らしい影響を与えるような作品だと思いました。ただ強制的に渡され読んでも響かないような感じもします。40代の私が読んでも面白かったので、年齢から読むことに遅すぎることはないかとも思います。

ところで、息子の通う幼稚園はキリスト教系の幼稚園で日曜日に礼拝が行われています。先日、お試し的な「父の日礼拝」というものがあり、初めて礼拝に参加してきました。遠藤周作の小説を読んだ影響があったのかもしれません。世の中が落ち着いたら、長崎県やポルトガルに行ってみたいと思いました。

駆け出しの鍼灸師であった頃の思い出です。お世話になったクリスチャンの鍼灸師がいました。理論や技術の指導をしてもらいました。よく車で送り迎えもしていただきました。車中では雑談をよくしていました。あの優しさは主、キリストの教えだったのだろうかとふと思いました。